大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和56年(ワ)7735号 判決 1983年1月28日

原告(反訴被告) 八切止夫こと 矢留節夫

右訴訟代理人弁護士 濱野英夫

被告(反訴原告) 株式会社 日本綿毛本社

右代表者代表取締役 林太郎

右訴訟代理人弁護士 平田達

同 久保田実

右訴訟復代理人弁護士 鈴木國昭

主文

一  原告(反訴被告)の請求をいずれも棄却する。

二  原告(反訴被告)は、被告(反訴原告)に対し、別紙目録記載の二〇一号室を明渡し、かつ、昭和五六年六月一八日から右明渡ずみまで一か月七万五〇〇〇円の割合による金員を支払え。

三  被告(反訴原告)のその余の請求を棄却する。

四  訴訟費用は、本訴反訴を通じ、原告(反訴被告)の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  本訴につき

1  原告(反訴被告)の請求の趣旨

(一) 原告(反訴被告、以下「原告」という。)が、別紙目録記載の二〇一号室(以下「本件建物」という。)につき、原告、被告(反訴原告、以下「被告」という)間の昭和五六年三月一日の賃貸借契約に基づく賃借権を有することを確認する。

(二) 被告は、原告に対し、金三〇万円及びこれに対する昭和五六年七月三〇日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

(三) 訴訟費用は被告の負担とする。

(四) 第(二)、(三)項につき仮執行宣言

2  請求の趣旨に対する被告の答弁

(一) 主文第一項と同旨

(二) 訴訟費用は原告の負担とする。

二  反訴につき

1  被告の請求の趣旨

(一) 原告は、被告に対し、本件建物を明渡し、かつ、昭和五六年六月一七日から右明渡ずみまで一か月七万五〇〇〇円の割合による金員を支払え。

(二) 訴訟費用は原告の負担とする。

2  請求の趣旨に対する原告の答弁

(一) 被告の請求を棄却する。

(二) 訴訟費用は被告の負担とする。

第二当事者の主張

一  本訴につき

1  請求原因

(一) 原告は、被告との間において、昭和四八年三月一日、別紙目録記載の二〇二号室(以下「本件旧建物」という。)を期限同五〇年二月二八日まで、賃料一か月四万九〇〇〇円の約定で賃借する旨の契約を締結し、本件旧建物の引渡を受けた。

右賃貸借契約は、同年三月一日、同五二年三月一日、同五四年三月一日及び同五六年三月一日に、それぞれ、原、被告間の合意により更新され(但し、同五五年一二月に本件旧建物から本件建物に移転)同五六年三月一日期限同五八年二月二八日まで、賃料一か月七万五〇〇〇円となった(同五六年三月一日に更新された本件建物についての賃貸借契約を、以下「本件賃貸借契約」という。)。

(二) 被告は、本件賃貸借契約を解除したと主張し、原告が本件建物につき賃借権を有することを争っている。

(三) 被告代表者は、原告に対し、原告を本件建物から立ち退かせるため、次のいやがらせ行為をした。

(1) 昭和五六年六月一日午後二時ころ、原告方へわめきながら入ってきて執筆作業を終えて就寝中の原告を起こし、その後約三時間、悪態の限りをつくして明渡を迫った。

(2) 同月二日午後三時ころ、何の前ぶれもなく原告方を訪れた。

(3) 同月五日、若い作業員七、八名を伴って駐車場に来て、原告のライトバンの扉を開きその中を無断で捜索した。

(4) 同月一六日、原告の自動車のフロントガラスに溶解セメントを投げつけた。

(5) 同月一八日午後一時ころ、原告方へ、不動産業者を差し向けた。

(6) 同月一九日午後二時ころ、見知らぬ男に、原告方をのぞきに行かせた。

(7) 同月二〇日午後一時ころ、見知らぬ者に、原告方をのぞきに行かせた。

(8) 同月二一日正午、原告方を突然訪れ、「大家が出ていけと言ってるんだ、とっとと明け渡せ」等と大声でどなり、同日午後二時ころ、数人と共にきてベルをひっきりなしに押し、「ここは俺の建物だぞ、何故あけぬ」とわめきちらした。

(9) 同月二二日午後三時ころ、原告の知らない者に、原告方をのぞきに行かせた。

(10) 同年九月七日午後二時ころ、数人と共にきて、廊下で大声で「本がぎっしり積んであるが何人ぐらいで外へ放り出せるだろうか」等と打ち合わせをした。

(11) 同月一一日午後一時ころ、見知らぬ男に、原告の自動車に向かって、石を投げさせた。

(12) 同月一三日、何者かに、原告の自動車の後部窓ガラスに石を投げさせた。

(13) 同月一七日午前一一時半ころ、原告方を突然訪れ、「家主の俺が出てゆけと言っているのが貴様にはわからんのか」等とすごみ、原告がいやがらせをやめるように言い返すと、真赤になって腕を震わせながら突きかかってきた。

(14) 同五七年三月一五日午後二時ころ、原告がかぜをこじらせて寝ていたところへ、何者かを伴って訪れ、原告の承諾もなしにあがりこみ、「出てゆけ」とわめき、寝間着姿の原告に向かって、「乞食みたいな恰好をしやがって。早く出て行け」等と騒いだ。

(四) 原告は被告代表者の右いやがらせ行為によって、日常生活上甚しい精神的苦痛を被ったところ、右の行為は、同代表者がその職務を行うにつきなしたものであるから、被告は、原告に対して、原告が被った損害を賠償すべき責任がある。

(五) 原告が被った精神的苦痛に対する慰藉料は三〇万円が相当である。

(六) よって、原告は、被告に対し、原告が本件建物につき賃借権を有することの確認並びに商法二六一条三項、七八条二項、民法四四条一項に基づき損害賠償金三〇万円及びこれに対する(三)の(1)ないし(9)の不法行為の後である訴状送達の日の翌日の昭和五六年七月三〇日から支払ずみまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

2  請求原因に対する認否

(一) 請求原因(一)の事実は認める。

(二) 同(二)の事実は認める。

(三) 同(三)の事実は否認する。

(四) 同(四)のうち、被告代表者のいやがらせ行為によって原告が日常生活上甚しい精神的苦痛を被ったとの事実は否認し、その余の主張は争う。

(五) 同(五)の額は争う。

3  抗弁

(一) 本件賃貸借契約には、賃借人は、「貸室内にて風紀衛生上、若しくは火災等危険を引起すおそれのあること、又は近隣の迷惑となるべき行為其の他犬猫等の家畜を飼育してはならない」旨の特約が存する。

(二) しかるに、原告は、右特約に反し、本件建物内で猫を飼い、建物内における衛生管理が悪いため、猫、その汚物及び生餌の臭いの入りまじった悪臭を右建物内外に発散し、更に、本件建物の存するマンション(以下「本件マンション」という。)の一階駐車場付近で、継続的に野良猫に餌や水を与えるので、野良猫が集まって本件マンション一帯が極めて不衛生になり、野良猫に与える生餌を持ってエレベーターに乗るなどして周囲に悪臭をまき散らして、本件マンション居住者に迷惑をかけている。

(三) 被告は、原告に対し、昭和五六年三月一一日ほか数回にわたり本件建物内における猫の飼育及び本件マンション駐車場付近で野良猫に餌や水を与えることを中止するように申し入れた。

(四) 被告は、原告に対し、同年六月一七日に原告に到達した書面で、本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示をした。

4  抗弁に対する認否

(一) 抗弁(一)の事実のうち、本件賃貸借契約に貸室内における猫飼育禁止の特約が存することは否認し、その余の特約の存在は認める。

昭和四八年三月一日、本件旧建物について賃貸借契約を締結するに際し、被告は、原告が本件旧建物内で猫を飼うことを承諾したのであるから、猫飼育禁止の特約は存しない。

また、本件建物についての賃貸借契約は昭和五〇年以来四回も更新され、更新のつど猫の飼育について被告はこれを知っていたにもかかわらず、何ら問題としなかったのであるから、本件賃貸借契約締結に際し、猫飼育禁止の特約は、原、被告間の黙示の合意により排除されていた。

(二) 同(二)の事実のうち、原告が本件建物内で猫を飼っていることは認め、その余は否認する。

本件建物の隣室が空室であったり、空段ボール箱の置き場所であったりしたためにそこに猫が居着いたりし、また、本件マンションの集中ごみ置場にごみがあふれているため鼠の出没が甚しく、この鼠を追い、又は、近くの給食センターの残飯をあさるために、本件マンションの転居者の置いていった猫や近所の飼猫が本件マンション一帯に集まったりすることはあるが、原告が野良猫を寄せ集めているということはない。

原告は、生ごみの袋が野良猫によって荒らされることのないように、これを本件マンションのごみ置場に置いているだけで、野良猫に餌を与えているということはない。

(三) 同(三)の事実は否認する。

(四) 同(四)の事実は認める。

二  反訴につき

1  請求原因

(一) 本訴請求原因(一)(本件賃貸借契約の成立)のとおり。

(二) 本訴抗弁(一)ないし(四)(特約違反に基づく解除)のとおり。

(三) よって、被告は、原告に対し、本件賃貸借契約の終了に基づき、本件建物の明渡及び賃貸借契約終了の日である昭和五六年六月一七日から明渡ずみまで賃料相当額である一か月七万五〇〇〇円の割合による遅延損害金の支払を求める。

2  請求原因に対する認否

(一) 請求原因(一)の事実は認める。

(二) 本訴抗弁(一)ないし(四)に対する認否のとおり。

第三証拠《省略》

理由

第一本訴請求について

一  請求原因(一)(本件賃貸借契約の成立)の事実は当事者間に争いがない。

二  抗弁について検討する。

1  本件賃貸借契約には、本件建物内において、風紀衛生上問題となる行為、火災等の危険を引き起こすおそれのある行為、近隣の迷惑となる行為及び犬等の家畜の飼育をすることを禁止する旨の特約が存することは、当事者間に争いがない。

そこで、同契約上猫の飼育を禁止する旨の特約の存否について判断するに、《証拠省略》によれば、最初の昭和四八年三月一日の本件旧建物の賃貸借契約締結や同五六年三月一日の本件賃貸借契約締結に際し、原、被告間において、前記風紀衛生上問題となる行為等を禁止する特約と共に、猫飼育禁止の特約が付されていたことが認められ(る。)《証拠判断省略》もっとも、《証拠省略》によれば、昭和五六年三月一日付けの本件建物の賃貸借契約書七条の家畜飼育等禁止の特約条項中「猫」の一字が抹消されていることが認められるが、《証拠省略》によれば、本件建物の賃貸借契約の更新の際には、被告から原告に対し必要事項を書き込んだ定型の契約書二通を送り、原告において借主欄に記名、押印をしたうえ二通とも被告に送り返し、更に被告が貸主欄に記名、押印をしてそのうちの一通を再び原告に対して送付する方法をとっていたが、同五六年三月一日の契約更新(本件賃貸借契約の締結)に際しても同様の方法をとり、被告から原告に対し、定型用紙に貸室番号、保証金額、賃料額、賃貸借期間を書き込んだ契約書二通(甲第一号証及び乙第六号証)を送ったところ、原告は、右二通の契約書の各六条に但し書を追加してその上部に「参拾六字追加」と記入、同七条の「猫」の字を抹消してその上部に「壱字抹消」と記入、同一一条に後段を追加してその上部に「貳拾九字追加」と記入し、借主欄に記名押印などして被告に送り返してきたので、被告はその内容を検討したうえ、右六条及び一一条の追加はこれを承認し、原告に送付する契約書(甲第一号証)の各上部の右「追加」との記入部分に被告印を押捺し、右七条の猫の字の抹消は承認しえなかったため、右契約書二通(甲第一号証及び乙第六号証)の右抹消された「猫」の字の右横に「イキ」と記入し、上部の「抹消」との記入部分には被告印を押捺することなく、貸主欄に記名押印し、印紙を貼付して被告印を押捺し、本契約書一通「甲第一号証」を再び原告に送付し、他の一通(乙第六号証)を被告の手元にとどめたこと、ところが、原告は、その後、ほしいままに、原告に送付されてきた契約書(甲第一号証)中右七条の抹消された「猫」の字の右横に記載された「イキ」の字を塗りつぶして抹消し、被告において猫の飼育を承諾したかのような工作をしたことが認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。

従って、本件賃貸借契約には猫飼育禁止特約が付されていたものということができる。

2  原告は、昭和五六年三月一日には、猫飼育禁止の特約は、原、被告間の黙示の合意により排除されていた旨主張するが、《証拠省略》によれば、本件建物についての賃貸借契約が昭和五〇年以来四回更新されたことは認められるところ、同五〇年、同五二年及び同五四年の更新の際、被告が、原告において猫を飼っていることを知っていたと認めるに足りる証拠はなく、かえって、《証拠省略》によれば、被告は同五六年二月一七日になって初めて原告が猫を飼っていることを知ったものと認められ、同年三月一日の契約更新の経緯は前記認定のとおりであるから、原、被告間において黙示的に猫飼育禁止の特約が排除されたということはできない。

3  原告が本件建物内において猫を飼っていることは当事者間に争いがないから、原告はこの点で前記猫飼育禁止の特約に反していることは明らかであるが、更に、原告につき、前記特約に反するような不衛生な行為等があるか否かについて、検討する。

《証拠省略》を総合すれば次の事実が認められる。

原告は本件旧建物に入居する以前から猫一匹を飼っており、本件建物に入居後も引き続き右猫を飼っていたが、その飼育にあたっては、爪を切り、部屋の中から出さないように留意し、猫の排泄場として、便所の傍に細かく破いた新聞紙を入れたポリエチレンの箱を置き用済みの新聞紙は週三回のごみ収集日に他のごみと一緒に捨てることにしていた。しかし、原告は、部屋の中の掃除をほとんど行うことなく、部屋中を乱雑にとりちらかしているほか、衛生面についても著しく配慮を欠くため、本件建物内に猫の臭いその他諸々の臭いの入りまじった悪臭がこもっており、原告が昭和五五年一二月に本件旧建物から本件建物に移転した際、本件旧建物の修理に来た職人は、部屋の悪臭がひどいため右部屋には二度と入りたくないと言う程であったが、本件建物内の悪臭も本件旧建物内の悪臭と同程度であった。更に、本件マンション駐車場には本件マンションの元居住者が密かに飼い、転居の際に置いていった猫二匹が野良猫となってすみついているが、原告は、右野良猫や付近の野良猫、更には近所の飼猫にも、一週間に数回の割合で、本件マンション敷地内又は隣接する公園内で餌を与えており、このことについて、被告代表者又は被告の従業員である小山雄三は、原告に対し、昭和五六年一月ころから、そのようなことをすると野良猫が本件マンションに集まり、居着くことになり、その中には本件マンションの前で車に轢かれるもの等がでるためマンション一帯が不衛生になるから、餌を与えることをやめるように申し入れていたが、原告はこれに応じなかった。

以上の各事実が認められ(る。)《証拠判断省略》

右認定事実によれば、原告が本件建物内において悪臭を発し、野良猫に継続的に餌を与える等の行為は、前記本件建物内において風紀衛生上問題となる行為及び近隣の迷惑となる行為をすることを禁止する旨の特約に違反するものといわざるをえない。

4  被告が原告に対し昭和五六年一月以降野良猫に餌を与えることをやめるように申し入れていたことは前記認定のとおりであり、《証拠省略》によれば、被告が原告に対し、原告が猫を飼っていることがわかった同年二月一七日以降、たびたび、室内で猫を飼うことをやめるように申し入れていたことが認められ、被告が原告に対し同年六月一七日に原告に到達した書面で本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示をしたことは当事者間に争いがない。

一般に、猫を飼育することそれ自体について非難されるべきいわれはない。しかし、本件のような多数の居住者を擁する賃貸マンションにおいて、猫の飼育が自由に許されるとするならば、家屋内の柱や畳等が傷つけられるとか、猫の排泄物などのためにマンションの内外が不衛生になるという事態を生じ、あるいは、近隣居住者の中に日常生活において種々の不快な念を懐くものの出てくることは避け難いし、更には、前記認定のように転居の際に捨てられた猫が居着いて野良猫化し、マンションの居住者に被害を与えたり、環境の悪化に拍車をかけるであろうことは推測に難くないから、本件のような賃貸マンションにおいては猫の飼育を禁止するような特約がなされざるをえないものということができる。従って、本件のような賃貸マンションにおいてかかる特約がなされた以上、賃借人はこれを厳守する義務がある。もっとも、原告は、猫の爪を切ったり、その排泄物の処理については意を用いていたことは前記認定のとおりであるが、それだけでは右特約を遵守しているものとはいい難いし、更に、原告は本件マンションの敷地内でも野良猫に餌を与えたり、あるいは、賃貸借契約書中の記載をほしいままに塗りつぶし、猫の飼育についても被告の承諾をえたかのような工作さえしていることは前記認定のとおりである。そうすると、原告と被告間の信頼関係はすでに失われているものということができるから、本件賃貸借契約は、昭和五六年六月一七日をもって解除により終了したといわなければならない。

従って、本訴請求のうち、賃借権存在の確認を求める請求は理由がない。

三  請求原因(三)の事実について判断するに、原告本人尋問の結果には「被告代表者が原告のもとにどなり込んできてかぜで寝ている原告を罵倒したりこづいたりした、車に石を投げた」旨の供述部分があるが、右供述は、《証拠省略》に照らし、たやすく信用することができず、《証拠省略》によれば、被告代表者が原告方を訪れ、原告に対し猫を飼ったり、野良猫に餌をやったりしないようにとの申し入れをしたことがあったことが認められるものの、右認定の事実のみによっては被告代表者のいやがらせ行為を推認することはできず、他に原告主張にかかる被告代表者のいやがらせ行為の存在を認めるに足りる証拠はない。

従って、本訴請求のうち、不法行為に基づく損害賠償請求は、その余の点について判断するまでもなく失当である。

第二反訴請求について

請求原因(一)(本件賃貸借契約の成立、本訴請求原因(一)と同旨)の事実は当事者間に争いがなく、同(二)(特約違反に基づく解除、本訴抗弁と同旨)の事実が認められることは前記説示のとおりであるから、反訴請求は、本件賃貸借契約の解除による終了に基づき本件建物の明渡及び賃貸借契約終了の日の翌日である昭和五六年六月一八日から明渡ずみまで賃料相当額である一か月七万五〇〇〇円の割合による遅延損害金の支払を求める限度において理由がある。

第三結論

以上のとおりであって、原告の本訴請求は、いずれも理由がないからこれを棄却することとし、被告の反訴請求は、右の限度において理由があるからこれを認容し、その余の賃貸借契約終了日当日の遅延損害金の支払を求める部分は失当であるからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担について民訴法八九条、九二条但書を適用し主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 古館清吾 裁判官 山﨑宏 江口とし子)

<以下省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例